緑内障とは
緑内障は、眼球の後ろにある視神経が障害され、見にくい範囲が広がっていく病気です。
視神経は一度障害を受けると残念ながら回復しません。
緑内障には大きく分けて2つのタイプがあります。
- 数日で失明に至る可能性のある急性のタイプ
- 自覚症状に乏しくゆっくり進行する慢性のタイプ
いずれにしても眼圧(眼の圧力、硬さ)が関係してきます。
当院では急性、慢性いずれのタイプに対しても対応できるように、レーザー治療装置を装備しています。
急性の緑内障
急性のタイプは急激な眼圧上昇により、眼痛、充血、頭痛、吐き気といった症状があり、多くは病院を受診します。
そこで急性緑内障と早く分かれば眼科で対処できますが、なかなか分からないと失明の危険となるわけです。
ただ急性のタイプは、起こしそうな方を事前に発見し、レーザー治療で未然に防ぐことができます。
それには眼科を受診していただかないと見つけられません。
慢性の内障とは
慢性のタイプの場合は、進行するまで自覚症状がないので、たまたま眼科を受診したり、検診で眼底検査をして初めて見つかることが多いです。しかし、たとえ見つかったとしても進行を止めることはできず、できるのは進行をゆっくりさせることだけです。
いずれにしても早期診断、早期治療が重要ですが、近年はOCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)の進歩が著しく、早期診断に役立っています。
治療法として、常時眼圧を下げるための点眼、内服、レーザー、外科手術があります。
緑内障の治療法
緑内障の2つのタイプ(急性のタイプと慢性のタイプ)は、いずれの場合も、眼圧を下げることが治療となりますが、 急性のタイプはものすごく高眼圧となっているのに対し、慢性のタイプは正常眼圧だったり少し高いぐらいの眼圧で、対処方法が異なります。
急性タイプの治療法
急性のタイプの治療は、これはもう緊急処置(場合によっては緊急手術)となります。
点滴、点眼とレーザー治療で高眼圧が治まらなければ、外科手術です。
慢性タイプの治療法
慢性のタイプの場合でも眼圧を下げることが治療となります。
治療には点眼、内服、レーザー、外科手術などがあり、元々眼圧がそれほど高くないタイプでも、眼圧を下げることで進行がゆっくりとなることが分かっています。
当院の方針
当院では闇雲に眼圧を下げるために目薬を多量に使ったり、いきなり手術をしたりなどはしません。
なぜなら治療にはいいことばかりではなく、副作用や合併症などがつきものだからです。
治療の目標を、『生涯自分の目で見て不自由なく暮らしていけるようにする』とし、投薬などは必要最小限で行っていきます。
緑内障は必ず進行するものなので、余命と進行速度との関係を見ながら、お一人お一人に最もあった治療法を選定、選択していくことが重要となります。
緑内障治療の流れ
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1眼圧測定
通常治療開始する前に、3~5回眼圧を測定します。
眼圧は一日の中でも、また季節によっても変動します。
何回か測って、その方の変動の特徴や基準となる眼圧を調べておきます。 -
2点眼治療開始
次に、ある程度目標眼圧を定め、点眼治療を始めていきます。
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3定期的に眼圧測定と視野検査
そして定期的に眼圧測定と視野検査をしていきます。
眼圧と視野検査は、治療効果の判定の物差しとなります。
治療がうまくいっているかどうかは、視野検査で判断します。
視野検査で進行が早ければ、さらに眼圧を下げるようにし、進行速度が十分遅ければ、現在の眼圧コントロールでよい、と判断していきます。 -
4その後の治療法を選択
さらに眼圧を下げた方がよいとなったら、点眼を変更する、追加する、あるいはレーザー治療をするといった選択肢の中から選択していきます。
外科治療は最後の手段と考えた方がよいです。当院ではレーザー治療のうち、繰り返し治療が可能な装置を導入し、選択肢の一つとしています。
これは線維柱帯と呼ばれる部分にレーザーを照射し、房水の流出を良くして眼圧を下げる治療です。
緑内障のレーザー治療
緑内障に対するレーザー治療には、レーザー虹彩切開術、レーザー隅角形成術、選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)があります。
いずれも当院で施行可能です。
レーザー虹彩切開術は、急性緑内障発作の時あるいは急性発作の予防策として施行します。
2台のレーザー装置を使います。
レーザー隅角形成術は、少し特殊な状態(プラトー虹彩)の方が対象となります。
選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)は、目詰まりしている線維柱帯にレーザーを照射して房水の流れを良くして眼圧を下げる治療です。
SLTは数年して効果が減弱しても、繰り返し照射が可能です。
OCTを活用した緑内障診療
緑内障の治療は早期発見、早期治療が大切です。OCTは視野にまだ異常が出ていない、予備軍的な状態の方を見つけるのに有用です。もちろん「疑い」の方を「疑いなし」と判断するのにも役立っています。
OCTでは網膜の厚みを測定しますが、視野異常の変化と同時に網膜の厚みも変化しますので、経過観察にも活用しています。